Vol.3 【思想家/吉本隆明】 特別インタビュー 


吉本隆明氏近影:2006/8/5撮影
PROFILE
吉本隆明(詩人、文芸批評家)
東京月島(現中央区)出身。一般的には思想家と紹介されることが多い。
戦後思想の巨人とも呼ばれる。「隆明」を音読みして「りゅうめい」と読まれ
ることも多い。長女は漫画家・ハルノ宵子で、次女はよしもとばななである。
文学、サブカルチャー、政治、社会など広範な領域を対象に、評論・思想活
動をしてきた。多数の著作がある。親鸞やカール・マルクスが著者の思想の
原点といってもいい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E6%9C%AC%E9%9A%86%E6%98%8E
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
 

文学界のみならず、政界・財界・各業界〜社会全体に大きな影響を与えてきた、吉本隆明氏。
氏の言動は、いまだ尚、重みと輝きを放ちながら注目と波紋を生み続ける。揺るぎない意志、そして思想。
今回は、吉本氏のご自宅にて自身の近況を含めた様々な貴重なお話を、約4時間にも渡ってお聞かせ頂いた。


------最近のお体の具合、体調はいかがですか------

吉本隆明
 足が少し不自由になりました。行動範囲が急激に狭くなり、少しノイローゼぎみにな
ったこともあります。最近は元気ですよ。

--------最近のお仕事について---------------

吉本隆明
 3ヶ月に1度ほどいろいろな本が出ていますが、ほとんどのものは過去の再編集版です。
実際は1年に1冊程度のペースで新しい本を作っています。

------------パソコンの利用、周辺機器について---------

吉本隆明
 本を読むのは拡大鏡を使っています。文章は手書きだとだんだん行がずれていきます。
音声認識入力は使えません。話し言葉と書き言葉は違います。話し言葉が文章になるの
は、今までに出会った人では江藤淳だけです。キーボードの利用は、配列を覚えるのが大
変なので片手で入力するものを2ヶ月間、考えて考案しました。配列を教えますので、是非
製作して商品化してみてください。

---夏目漱石についての三浦つとむと江藤淳の違った意見----

吉本隆明
 江藤さんの漱石の奥さんに対する追及と断言には驚きがあります。三浦つとむさん流に
言うなら、漱石が凄すぎる人なので、奥さんは可愛そうな人だったかもしれません。

------------政治家について--------------

吉本隆明
 西郷隆盛は郷土の仲間と一緒に不利的状況でも中央権力と戦い続ける政治家でしたが、
田中角栄も似ている部分があったと思います。ただ郷土への利益誘導という点だけでなく、
評価されるべき部分があったと最近は思います。官僚から政策などを問われた時、田中角栄は
すぐに問いに対しての即答ができる政治家でした。また、それこそが、政治家としての存在意義
であると言っていました。中国の郷土出身者の政治家もその傾向がやはりあるみたいです。

--------アメリカの残酷さと豊かさ-------

吉本隆明
 アメリカは外国で戦争を続けていますが、内地への襲撃に対し、非常にヒステリックを起こしました。
太平洋戦争中に日本に対してここまでするかという、残酷性をもったアメリカですが、それと同時に、
日本の想像を超える豊かさももっています。

------戦争について-----

吉本隆明
 今さら核を一発二発持ったところで世界は変わらないです。日本には憲法9条があります。
非戦を主張する事に存在意義があると思います。

--------言語と貨幣、マルクスと芸術について--------

吉本隆明
 芸術は、蓄積された労働価値と比例して評価が上がるものではありません。言語
体系と貨幣形態は一部の部分で共通するものがあると思います。労働価値は場所
と遺伝子と言葉が密接に関係し、織物のような形で表れてくるものだと思います。


吉本隆明氏の自宅1Fにて取材

吉本家にて飼われている猫のシロ

-----テレビとテレビタレントについて----

吉本隆明
 さんまさんの対人適応能力はすごいですね。今、芸能界での話の芸は一番だと
思います。それにしても、タモリさんの毎日の体調管理は物凄い事だと思います。
筑紫哲也さんが多事争論でヒステリックを感じさせる言葉を発言した事がありまし
たが、要するに時代は急速に変化していると感じられます。筑紫さんは正統的なリ
ベラルな人だと感じています。

---今年のプロ野球----

吉本隆明
 今年の中日はなかなか手ごわいですねぇ、阪神タイガースを応援しています。

--今日はありがとうございました。--



ー取材後記ー

  文京区の下町にある吉本氏のご自宅にてお話をさせて頂きました。83歳になられたそうですが、語り口調は滑らかで鋭い目の輝きには衰えを全く感じませんでした。取材後、書斎を拝見させて頂きましたが、19インチほどの液晶モニターに接続された拡大鏡があり、本の文字をモニターに映して見せて頂きました。大量の書物に囲まれた中に、お気に入りの小さなリクライニングチェアーがあり、時々そこで眠りにつく事もあるそうです。

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来年には、新刊の発売も予定されているそうです。
グッドプランニングのスタッフ全員で新刊を買おうと思います。
吉本隆明氏の今後の益々のご活躍に期待します!

(取材・文章:若林宣次・雄人/片岡稔/安野 平成18年8月5日)


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